そしてレーシングバージョンたち

 現役時代は倍の排気量の車と互角に戦ったエスですが、近年のヒストリックカーレースにおいてはレギュレーションがネックになってか、なかなか活躍の場がありません。このため各地に眠っているエスのレース車両を一同に集める企画「レーシングパレード」が今回企画されました。レース車両といっても、レギュレーションや勝ちへのこだわり等でさまざまなバージョンが見られます。たとえ勝利は二の次でも、書類のない欠品だらけの車が(公道以外ではあるが)復活することは喜ばしい事です。



N360のレーサー





 戦闘力よりも当時の雰囲気にこだわった車。貴重なS500のグリルを付ける。




 当時はこんなマシンはなかったが、ワークスカラー&ナショナルカラーなのであまり違和感がない。




 特定のレース車両のレプリカ。デニスハルムが乗ってニュルブルクリンクでクラス優勝したS600を忠実に再現。




 詳細は忘れたが当時のレースで実際に活躍したS800。現在においても抜群の速さを誇る。




 当時の雰囲気より速さにこだわるS800。




 軽量化と空力のためにボディーを載せ変えた車、マクランサ。




 正体不明の未完成レーサー。形から推測して当時のワークスカーR800(S800のエンジンをブラバムフォーミュラーのシャーシに載せたもの)のレプリカ?と思われる。

 しかしながらこうして見ると残念な事に当時からのレーシングカーは殆ど無く、後になって書類無しのフレームから起こしたものが殆どです。これは70年代までの旧車の殆どの車種に言えることで、当時現場で用済みになったレーシングカーを保存しようという物好きは居なかったようです。私はこういうのが「旧車が犯した過ち」ではないかと思います。