バランス取り前の質量のばらつき
そもそもどれくらいばらつきがあるのか。単体保管してあるコンロッドからいろいろ選定してみた。手持ちのコンロッドを全部測定しようとすると、シリンダーブロックにピストンとクランクシャフトごと組み込んだ状態の物が何十本レベルで存在するので、今回は割愛する。
今回の注目点は写真の矢印部分にある番号。これは鋳型の番号なのだろうか。たまたま同じ番号のコンロッドが見つかったので、それを含めて比較していく。
すると同じ番号の物は2gほど、異なる番号の物は最大で7gほど差があった。番号と質量にはやはり何らかの関係があるのだろうか?
以上を踏まえ、前のページで紹介した写真を見直してみる。キャップの切削をしていないやつだ。
この写真のコンロッドとキャップの質量合計値は、230g。一番上の写真で最も軽い物が321g、重い物で328g。となると、本コンプリートエンジンで使われた部品は確かにバランス取りは行ったが、質量自体は最も重いクラスの物が使われていた可能性がある。一方で、高額なコンプリートエンジンでは、軽量のコンロッドが使われるのかもしれない。
前頁でコンロッドのバランス取りをやってみようかと書いたのだが、同程度の質量のコンロッドを選定しないといけない。仮に7gも差があったら困難なのではないか。同程度の質量のコンロッドをそろえるためには、十数本レベルのストックが必要ではないかと思われる。
次頁では、コンプリートエンジンにどのような素性の部品が組み込まれていたのかを、改めて振り返ってみる。