このタイプのキャンピングカーは買うべきか、買うべきでないか??(特に首都圏の人)

 キャンピングカーの中で最も大きなものが、ディーゼルトラックを改造したタイプである。値段は600万円〜。が、このディーゼルトラック改造タイプにはとんでもない問題があるのだ。特に首都圏の人は購入前に十分に検討すべしと言っていい問題点がある(ガソリン車をベースとしたトラックは問題ない)。



 それは何かというと、東京都知事がいきなり出してきた「DPFの装着義務条例」なのである。DPFとはディーゼル・パティキュレート・フィルターのことである。何をするものかというと、ディーゼル車の排気管からは黒いすすが出るが、それをフィルターを通して除去してしまおうという装置で、ガソリン車でいう触媒のような物だ(形は似ているが、作動原理は異なる)。
 この条例はまだ正式に決議されたわけではないが、早ければ03年より施行され、都内を走るディーゼルエンジン車全てに適用されるとのこと。つまり、都内登録されていない車も含むし、10年前のディーゼル車もDPFを装着する必要があるということである。肝心のDPFのコストなのだが、DPFを後付する場合は現在の試算で1台分が100万円程度と言われている。しかも装置自体が結構大きいので、車につめるかどうかさえわからない。最悪の場合、都内の人が高い金を払ってこのタイプの車を今買ったとすると、3年後にDPFが取り付けられず売り払う必要が出てくる。しかし、この条例は東京都だけに適応されるため、条例に適合できなかった車が中古として大量に放出されることが考えられるので、地方の人が中古のキャンピングカーを格安で買えるというメリットが出てくる可能性もある。

 上述の話は「買うべきでない」というスタンスなのだが、以下の話は「買うべきである」というスタンス。この条例、上述の通りあまりに過激な内容のため鳴り物入りで登場したものの、最近少しトーンダウンしている。「DPFを後付しなければならない」という点が、法律の「財産権の侵害」にあたるとかで、施行は不可能だというのだ。となると、今買っても問題ない。むしろ、「DPFが新車時から装着されているのは当たり前」という時代がやってくるのは確実なため、そうなってくると現在の価格より約10万円〜50万円程度車両価格が跳ね上がる(100万円上がらないのは、DPF自体が量産効果で安くなるため)。さらに最悪の場合、コストアップに耐えきれず、ディーゼルエンジン車が絶滅する可能性もある。そのため低速トルクの太いディーゼルでないと苦しいトラックタイプのキャンピングカーは、今こそ買い時ともいえる。

 もう一度言っておくと、トラックタイプのキャンピングカーを買ってはいけないと言っているのではなく、東京都を走行する可能性のある人は、ディーゼルエンジンをベースとした車を買う場合は十分に検討を要するということである。またこの条例自体、東京都のみならず環境庁や運輸省、果ては自動車工業会や石油連盟も絡んで朝令暮改・セクショナリズムの混沌状態にあり、何がどうなって結局どうなろうとしているのかさっぱり見えてこない。というわけで、「まあDE車を取り巻く環境は、こんなのもあるよ」程度の話半分くらいにとどめて置いて欲しい。
 なお数は少ないと思うが、ワゴンタイプや牽引タイプ、サンダーバード2号タイプのベース車がディーゼルエンジンならば、これも条例に引っかかってくるため気を付けること。