工場出荷時/補修部品で購入できるデスビキャップの性能差

 工場出荷時のデスビキャップと、補修部品で購入できるデスビキャップの外観上の差を確認しておこう。写真左が工場出荷時のデスビキャップ。三菱のマークが違う。



 工場出荷時/補修部品で購入できるデスビキャップの性能差は、電極の根本にクラックが入るか入らないかである。工場出荷時のデスビキャップは、下の写真のようにクラックが入ってしまう。ただし、このクラックはデスビキャップ全体にどんどん広がることはなく、下の写真の程度ぐらいで止まる。また外側からみても、クラックの発生は目視で確認できない。



 一方で補修部品で購入できるデスビキャップはクラックが入らない。今回見てきたデスビキャップも補修部品で購入したものだ。


 なお工場出荷時のクラックの入るデスビキャップでも、通常の使用状態では問題は発生しない。問題が発生するとしたら、雨の日にクラックからリークしてプラグに火花が飛ばなくなりエンジン不調が発生することぐらいだ。私自身はデスビキャップを工場出荷時のままから交換していない。



 以下余談・・・点火系がダイレクトイグニッション化され、ディストリビューター自体が存在しなくなってから約20年が経過した。消耗品であるデスビキャップが、この先どこまで供給されるかわからない。買っておくなら今の内だろう。
 一方で、1950年代から60年代にかけて作られたボッシュやルーカス製のデスビキャップはいまだ製造されている。よく「自動車文化があるから欠品しないのだ」という論調があるが、これは美化しただけの話だ。現実は、デスビキャップを細々と作っていかないと生きていけない人達が、何らかの形で保護されているだけの話、もしくはコピー品が出回っているだけの話。コピー品が出回るのは、今更取り締まりを強化しても割に合わないから、誰もやろうとしないため。コピー品メーカーは、儲からないとわかると一気に手を引いてしまい取り扱いがストップする。「文化云々」ではなく、あくまでも「儲かるか儲からないか」が当然といえば当然の判断基準である。近年の事例では、レギュレーターなどオルタネータの構成部品のコピー品(特にデンソー関連)が海外で急に出回らなくなってしまった。日本国内ではそもそもコピー品が出回らないため、ほとんど知られていない話である。その結果、コピー品の販売に頼っていた海外の部品商の多くが店を閉めるか事業規模を縮小するという事態にまで発展してしまった。

 「自動車文化があるから欠品しないのだ」とは話を美化していると書いたが、これを日本人が言うと「自分は何の努力をしなくても、自動車文化なるものが最後に救いの手をさしのべてくれる」と聞こえてしょうがない。