ギヤ本体を確認する

 まずはカウンターシャフトから見ていく。



 仮に異音が出なかったとしても、カウンターシャフトで異常の出る部分はわかっている。それはシンクロナイザーハブだ。1速や2速に入りにくくなる現象が起こるのは、この部分に異常があるためである。矢印部分が摩耗したり欠けたりするのだが、そのようなことは見られなかった。



 撮影しにくくわかりにくいのだが、シンクロナイザーハブの内歯。ここもよく摩耗するのだが、問題無い。



 異音とは直接関係ないが、1速や2速に入りにくくなる現象が起こる原因は、矢印部分の歯(シンクロナイザーリングとシンクロナイザーハブの内歯)が重なり合うためである。つまり上下の矢印が同一線上に並んだら異常ということ。が、同一線上にないためこのミッションは正常である。また、ギヤ全体を見ても、欠けや摩耗は見られなかった。





 次にインプットシャフトを見てみる。



 インプットシャフト側のギヤは、もともと摩耗や欠けなどの異常が少ない(というか異常があるものを見たことがない)。このギヤも正常だった。



 以上のことをまとめると、以下の通りになる。
1.ミッションケース内に破片が発見されなかった、ギヤ自体にも摩耗が見られなかったことから、異音の原因は皿ネジにのみあると判断する。
2.皿ネジ程度の硬度の金属が混入しても、ギヤ本体は影響を受けない。



 次にベアリングを見ていく。目視では異常はなかったが、回転させてみるとゴリゴリ感があった。正常品とも比較したが、やはりゴリゴリ感が強かった。ギヤ自体には問題が無かったため、組み直して使う場合は矢印のベアリングを交換すべきだろう。