固着の原因と、絶対にやってはいけないこと

 今回の分解の結果わかった固着の原因は、以下の通りである。

 1.キャリパ内部から錆びたのではない。
 2.サイドブレーキワイヤーがつくシャフトの錆が固着の原因である。
 3.錆は雨水が入ったことで発生したと考えられる。
 4.雨水は、ゴムのパッキンとシャフトの誤組み付けが原因で浸入したと考えられる。


 4は推定なのだが、どうしてそう推定されるかを見ていく。

 まず正しい手順での組み付け方法を見ていく。それはキャリパ本体にゴムのパッキンを入れ、その後シャフトを押し込むという手順。



 ここでシャフトを改めて見てみる。矢印で示すとおり段差がある。



 正しい手順で組み付けると、この段差の中にパッキンの一部が入り、正常にシールされる。その状態が下の写真。矢印部分の形状に注目。



 誤った手順、即ちシャフトを先に入れ、あとからゴムのパッキンを付けた場合は、下の写真のようになる。違いがわかるだろうか。段差ができていない、即ちちゃんとシールされていないのである。



 これが原因とはつゆ知らず、正常品を分解してしまったのでわかりやすい写真が存在しないのだが、正常品は確かに段差があった。



 一方、今回の固着品は、段差がなかった。



 これでわかった絶対にやってはならないことは、
ゴムのパッキンの交換は、後からしてはダメということである。やるのならキャリパを完全に分解して、正しい手順で組み付けなければならない。



 今回はこれでおしまい。次回は、キャリパ内部の構成部品の流用品について見ていく。