海外に輸出されるAZ−1

 25周年ミーティングには、1名ほどアメリカの人が参加した。なんでも日本で働いていた時にAZ−1を買い、それをアメリカまで持って行くというのだ。もう少し詳細に述べると、25周年参加の時点で本人はアメリカに帰国しており、その間AZ−1は日本(関東)に保管していた。25周年には日本へやってきて、AZ−1に乗って自走で広島までやってきたのだ。

 アメリカの「25年ルール」がなくなり、輸出されるAZ−1が増えているが、輸出される車本体を見るのは初めてだ。それがこの車。





 純正オプションのMOMO製ステアリングが装備されており、どうみても工場出荷時の発煙筒が装備されているという珍しい車だ。



 全体的にみると、特にシートがやれている。



 面白いのはコンビスイッチで、アルトと思われるものに交換されていた。



 コラムカバーの穴もぴったり。


 末永く乗られることを願うばかりだ。




 以下、一般論である。上記の車やオーナーとは関係無い。日本の至宝であり日本国内専売車であるAZ−1が、海外に流出することの是非である。



賛成・容認の立場での考え方
1.AZ−1の名を世界にとどろかせ、マツダブランドの頂点に立つ車として真に認められるには、やはり日本だけでなく海外でも名声を上げる・人気を得るしかない。自動車産業が事実上崩壊した(一部復活したみたいだけど)イギリス車が、いまだに世界で賞賛を浴びている現実がある。これは経緯がどうであれ海外に車がばらまかれたからに他ならない。
2.先行する事例(例えばハコスカ、フェアレディー、86など)では日本車に対する熱い思いのある連中が多い。個々のショップもレベルが高いように見受けられるので、すぐに乗りつぶすといったような問題は発生しないのではないか。
3.自分のAZ−1が値上がりするということは、資産が増えると言うことなので、日本のオーナーにとってメリットがある。



反対の立場での考え方
1.AZ−1には先行事例のような専門ショップがない。修理方法やパーツの手配方法がわからないはずなので、どうせ壊すだけ。乗り回して壊して捨てるだけ。
2.海外でもクラッシックカーのミーティングが行われるが、海外誌からの情報だけで判断すると、一部を除いて規模が大きいだけで開催趣旨のレベルは低いように感じられる(少なくともAZ−1の25周年ミーティングのレベルは欲しい)。これでは車にとっていい結果になるとは思えない。
3.ミーティングで「For Sale」となっている車が日本より圧倒的に多い。車好きの集まりなのか、即売会なのかよくわからん。車に対する向き合い方に相容れない部分がある。
4.滅茶苦茶な改造をやって喜んでいるだけ(特にオーストラリア)。趣味の車のあり方としては正しいと思うが、希少絶版車に対してはやってほしくない。



正反対の立場からみて
 日本にてバニングなどに改造される旧車のアメ車をアメリカ人が見たら、どのように思うのだろうか。反対の立場なのだろうか。


 以上の賛成・反対の考え方の根拠は、過去紹介してきた「○○げげぼツアー」から読み取ってくだされ。



結局、どっちがいい?
 双方、メリット・デメリットがあり、はっきりとした結論が出せない。「賛成の反対の、賛成の反対の、賛成の反対なのだ」というのが個人的な思いだ。ただ、「自動車趣味の本道」をやるような連中に渡れば問題は発生しないように感じられる。が、そうでない連中に渡れば捨てられるだけだ。これは避けたい。
 強いて対策めいたことを言えば、日本でも入手困難な状態になれば、野放図な海外流出は避けられ、海外に流れるとしてもそれなりの人が買ってくれて、大事に扱われるのではないか。




 最後は重い話になってしまったが、25周年を迎え、アメリカの25年ルールが適用されるAZ−1としては避けて通れない話である。またこのようなことを考えることが、今の日本車には足りていない。だからこそ、自動車趣味の本道を標榜するAZ−1が考えるべきことなのかもしれない。


 最後になったが、山田ジローさんから頂戴した透視図を、25周年記念としてマツダの窓口の人に渡して、25周年ミーティングに関するイベントは全て終了となった。





 申し込みが殺到し、受付開始後24時間で一旦締め切るなど、運営側としても予想しなかった事態が発生してしまった今回のミーティング。次回以降は対策を取っていきたい。