マイレッジマラソンとは

 それはガソリン1リットルで何キロ走れるかを競うレース。世界で50年以上も前から行われている由緒あるレースである。燃費を稼ぐため、ほとんどの車が50CC以下のエンジンを搭載し、低抵抗化・軽量化を重ねた車両でレースに挑む。その走行距離はコースにもよるが、1000km/リットルにも達する。今回AZ−1の生みの親であるマツダチームが、’96年9月16日に鈴鹿サーキットで行われた「第16回 昭和シェル石油・CAR GRAPHICマイレッジマラソン」で見事初優勝を飾り、もう1台も3位に入賞したとの情報が入った。マツダチームの多大な協力を得て、その様子を紹介する。

成績と優勝車の紹介

順位チーム名燃費(km/L)速度(km/hr)
 1位Fancy Carol 995.4  29.4
 2位水曜クラブ 903.1  36.9
 3位BOMBER CAT 812.2  33.1
 4位チーム ベイント 792.6  36.0
 5位千葉県立京葉工業高校A 778.5  38.3
 6位再輝 750.5  32.7
 7位昭和第一学園機械研究部チャレンジャーA 737.1  36.0
 8位日本工業大学自動車部 732.1  38.4
 9位SMART 713.9  35.5
10位千葉県立京葉工業高校B 689.2  37.7


 赤い文字で書いてある車がマツダチームの車である。ただし、これはいわゆる「ワークス」ではないとのことだ。
 マイレッジマラソンでの常勝チームは本田技研。過去16回のうち、なんと12回も優勝しているのだ。それもそのはず。持ち前の高度な技術力の上に、参加チーム数も毎回20数チームに及ぶ(出場チーム総数は約500チーム)ためだ。

レースの進め方

 鈴鹿を8周して、減ったガソリンの量(重量で測定)から走行可能距離を逆算する。ガソリン1リットルを使いきるまで延々と走り続けるわけではないのだ。細かなレギュレーションがいろいろとあるが、重要なのは平均時速が25km/h以上であること。それ未満だと失格となる。

レースを進める上でのテクニック

 今回のレースでは台風の余波で強風が吹き荒れ、思ったようなコース取りができず各チームを苦しめたようだ。マイレッジマラソンで好記録を出すにはただ単にコースを走るだけではだめである。例えば上り坂を上がる以外はエンジンを停止し、その惰性で進むようにしながら走り、燃費を稼ぐという通常のレースでは見られないテクニックが要求される。坂や傾斜の多い鈴鹿ではこのテクニックを駆使する必要があるため、コース取りは大変重要なのだ。車の燃費の悪化は車体重量に大きく関係する。しかし体重は軽いがテクニックを持ち合わせていないドライバーが運転するより、重くはなるがテクニックをもったドライバーが運転した方が記録が伸びるほどだ。
 また、燃費を稼ぐための単なる非力なエンジンでは鈴鹿を制することはできない。高低差30mの鈴鹿の坂を上りきれず、リタイアする車が後を絶たないのだ。坂を上りきれるだけのパワーを出し、なおかつ低燃費にしなければならないところにこのレースの難しさがあるのだ。