’96国際ドラッグレース

 ドラッグレース。これは「よーい、ドン!」で、いかに速く直線を走るかを競うレース。マシンは出力5000馬力、最高速度は約500km/h、1/4マイル(約400m)を約5秒、10m/リットルという信じられないような極悪燃費で駆け抜け、最後はパラシュートで停止するブラボーなやつらだ。
 え?、AZ−1と何の関係があるって? 世界最小のスーパーカーと名乗ったところで、所詮は軽自動車。こればっかりに乗ってると反動というものが出てくる。また、AZ−1はとんでもないマシンだが、ドラッグレースに出てくるマシンも上述の通りとんでもないマシンなのである。とんでもないマシン同士ということで共通項はあるのだ。というわけで、今回は8月30日から9月1日にかけて大阪で行われた「’96国際ドラッグレース」の模様を紹介しよう。


ドラッグレースのカテゴリー

 ドラッグレースのカテゴリーには大きくわけて4つある。プロストックバイク、プロストック、ファニーカー、トップフュエルだ。
 プロストック系は、NAのエンジンを使用しガソリンも通常のものを使用する。出力は1000馬力程だ。車の形も市販車をベースとしている。
 ファニーカーとトップフュエルは、基本的に同じエンジンを使用する。V8 8000cc、スーパーチャージャー付きで出力は5000馬力だ。燃料にはニトロメタンというものを使用する。違いはファニーカーがFRで市販車のボディー形状をとどめるのに対して、トップフュエルは「ドラッグスター」という極端にホイールベースの長いRRの車両を使用する点だ。

ファニーカー


レースの進め方

 2レーン・2台で走るトーナメント方式。まずは当然エンジンを始動するのだが、これが豪快。コップに入ったガソリン(通常のもの)をキャブにそそぎ込みながらスタートさせるのだ。その次に始めるのがburn outと呼ばれるタイヤのから回し。これはタイヤの表面温度を上げグリップをよくするという効果等をもたらすが、ショー的要素が大きい。

Burn Outを行うドラッグスター

 次にスタート位置について「よーい、ドン!」となるわけである。スタートすると、ものすごい音がする。鼓膜が振動しているのがわかる。耳元で笛を思いっきり鳴らされたくらいの音がして、1回レースをやっただけで耳がよく聞こえなくなるほどだ。この音に慣れると少々の大きなではうるさいと思わなくなる。


ドラッグレースの魅力

 burn outと爆音に代表される派手さと、一瞬のうちに終わってしまう散り際。あらゆるモータースポーツの中で、ドラッグレースに勝る迫力を持つものはあるまい。だが、ドラッグレースは非常にマイナーなモータースポーツでもある。事実、車に書かれているスポンサーは聞いたこともないものばかりだ。しかしこのマイナーさ故に、ギャラリーとのコミュニケーションを深めることが出来るモータースポーツでもあるのだ。パドックへの立ち入りが可能どころか、その前で商売してたりするおおらかさ等々。
 ドラテクを競うのもいいが、たまにはこんな滅茶苦茶(に見える)レースも面白い。

 なお、ドラッグレースの模様はケーブルテレビのsports-iで放送されているので、興味のある人はご覧頂きたい。この番組はアメリカのドラッグレースを放送しているが、ファニーカーの中でサザンの桑田さんによく似た日本人ドライバーがいるので応援しよう。でも最近調子が悪くて、1回戦ボーイ状態だ。4年くらい前はクラス6位にまでいったのだが・・・


Quick Time movie

 前回の予告通りQuick Time movieを紹介しよう。サンプル画像のところをクリックするとムービーが落とせる。迫真のサウンドを生かすために、サンプリング周波数は22kだ。ちょっとファイルが大きいが、ジェットカーは必見だ。

 これはドラッグスターがタイヤスモークをあげながら走り去るところ。タイヤスモークとは、トラクションがかからずにタイヤがスリップし白煙をあげることである。このムービーは、レースとしては完全な失敗だが、それなりの迫力を伝えている。
 ファイル容量は1MB。

 ジェットカーはドラッグレースの中では、エキジビション的存在である。ただし、その迫力は尋常ではない。特にこのムービーにあるようなナイトレースでは、迫力と美しさが両立する。本当ならエンジンスタートからゴールまでをお伝えしたいのだが、ファイルサイズが圧縮した状態で17.6Mにもなり、とても紹介できないのが残念だ。
 ファイル容量は2.8MB。