開磁型イグニッションコイルをためす、その2

 まだまだあります、開磁型イグニッションコイル。左からダイヤモンド製のコイル、ルーカスのシルバーコイル、ルーカスのゴールドコイル(スポーツコイル)だ。



 ダイヤモンドのコイルには、矢印で示す変な物が乗っている。これがバラスト抵抗。抵抗値は1.5オームで、コイルの1次側の抵抗と合わせ3オームになる。シルバーとゴールドコイルは、バラスト抵抗なしで3オームだ。



 ゴールドコイルの品番は、DLB105。ちなみにシルバーコイルとともに、まだ市販されている。



 さてその実力はいかに・・・
 シルバーコイルは、しょぼい。さすがはルーカス。期待を裏切らない品質の低さ。一方でゴールドコイルはというと、色が良い分、発生電圧が高くなった。

シルバーコイル ゴールドコイル

 アルトの開磁型コイルと比べると発生電圧は低い。が、1次側の抵抗が3オームであることを考えると、健闘している。



 話題転換。バラスト抵抗がつくと、発生する高電圧はどうなるのだろうか。オームの法則からすると、バラスト抵抗がつくことによりコイルの1次側の電圧は12Vの半分の6Vしかかからなくなる。単純に考えると、発生する高電圧はバラスト抵抗がない場合の半分になりそうな気がする。
 が、実際に実験してみると、そこまで低下しないことがわかった。これはダイヤモンド製のコイルでの結果だ。

バラスト抵抗あり バラスト抵抗なし


 このテスターで語るところの2万ボルト近辺の電圧の高低は、エンジンの調子に対し結構シビアに効いてくる。発生する高電圧がちょっとでも低い場合、混合気が濃かったりする(エンジン始動時・加速時など)と、エンジンに火が付かなくなる。よってコイルメーカー各社は、少しでも電圧を上げるようしのぎを削ってきたわけだが、閉磁型コイルの登場で雌雄を決した感がある。
 詳細は省くが、高性能の開磁型コイルを検討するよりも、ワークスあたりの閉磁型コイルを解体屋からとってきて、バラスト抵抗を取り付けたものの方が走りへの効果は高い。普通に走る分だったら、MSDとかCDIとかを取り付けるよりも遙かに安くつくので、特に旧車の点火系の不具合改善にはお勧めである。



 またまた話題転換。どうも点火系の調子が悪いので、イグニッションコイルとデスビを同時に交換したところ調子が戻ったというお話。交換後の余り物がジャンクとしてヤフオクに出ていたので落札した。落札金額は、たったの11円。イグニッションコイルテスターを使っていろいろ検証したが、特に不具合は見つからなかった。実際、AZ−1に取り付けても問題は発生しなかった。やはり微妙な個体差が、大きな影響を及ぼすようである。



 AZ−1に流用できるコイルが確認できたので、今回はこれでおしまい。イグニッションコイルやプラグのシリーズは、一旦期間をおいてまだまだ続く。疑似沿面点火プラグ、360度点火プラグ、ダイレクトイグニッションコイルなどを試し、点火系の常識を疑っていく。