新品と洗浄したインジェクターの比較

 本試験の前に前提条件を述べたい。試験に用いるインジェクターは、1990年代前半に作られた最も単純な構造を持った物だと言うことだ。現在のインジェクターでも今回の実験は可能だが、燃料噴霧が微粒化され、多段噴射など行うインジェクターでは、適正な比較結果が得られない可能性がある。

  インジェクターに関するデンソーの論文の例

 今回の比較でも、前回作った試験装置(以下、発射台)を使ってどこまで水が飛んでいくかを調べることにした。具体的には、発射台の前方に板を置き、発射台から板に水がかかるまでの距離を調べる。下の写真でいうと、発射台から板の前端までの距離は2.4m。さらに板の長さが1.8mある。最も飛ぶものは、4.2mほど飛ぶことになる。なお簡易評価であるため、発射台の設置角度によって飛ぶ距離が変わるし、風の影響を受けたりしやすい。



 ここでは、AZ−1用のインジェクターで比較してみる。
 まずは新品の評価結果。





 次に、Nanaoさんから提供頂いたインジェクターを洗浄したもの。洗浄方法は、前回紹介したとおり、フューエルワンに15時間漬けるというやり方だ。
 その結果、飛距離は新品と同程度であることがわかった。洗浄前の飛距離は、新品と比較すると明らかに劣っていたため、「飛距離」という点においては改善効果があったといえるだろう。





 さらに、最も状態の悪かった、インジェクターのフィルター部分に異物のついていたやつ。こいつの飛距離も新品と同程度だった。





 次頁では、洗浄品と未洗浄インジェクターの比較を念のため行う。これで差が見えやすくなるはずだ。