ポルシェ博物館レーシング館跡地

旧住所:静岡県御殿場市深沢永尾3783 ?
現住所:静岡県御殿場市深沢3783-1

 前頁で紹介したポルシェ博物館に次いでオープンしたのが、ポルシェ博物館レーシング館である。現在は「オール電化マンション」となっている。その名も「御殿場ミュージアムタワー」と呼ぶ。ポルシェ博物館レーシング館が閉館した後に「現代美術館1」として活用されマンションへと変わっていった。その名残が「御殿場ミュージアムタワー」というマンション名に残っているのかもしれない。立派な建物だが、電球が1ヶなくそれを修繕すらできないという状況のようだ。



 というのも、人が住んでいる気配がほとんどないマンションだったためだ。矢印部分は明らかに人が住んでいる感じだが、その他の部屋はもぬけの殻のように見える。



 1983年に撮影された航空写真。ポルシェ博物館レーシング館は、こんな建物だったようだ。



 ところが、1988年には現在の御殿場ミュージアムタワーが建設されつつあった。



 跡地巡りを行った日はイマイチ天気が悪かったのだが、ここから富士山山頂が見えた。



 いろいろ調べてみると、御殿場ミュージアムタワーの一室が売りに出されていた。「オール電化マンション」と書いたが、IHではなく電気コンロが置いてあるオール電化マンションだった。



 驚かされるのが、御殿場ミュージアムタワーの周辺施設だ。徒歩5分圏内にコンビニを含め何一つ無い。売れないはずである。また山の上に立っているため、雪が降ったら大変だ。



 御殿場ミュージアムタワーは1989年に完成している。バブル期だ。また、施主の名前に「松田コレクション」が入っている。このことからも、ポルシェ博物館レーシング館跡地であったことがわかる。



 御殿場周辺に限ると、松田コレクションはスクラップ&ビルドにより、富士山の見えるところにどんどん移転していった。他の自動車関連博物館にも言えることだが「富士山が見えさえすれば、客は自然にやってくる」というノリだけで作られたようにも感じられる。かわいそうなのは、移転の都度振り回された車たちだ。
 この手のコレクションは資産家がやっていると聞く。例えば森ビルのように建物を土地に建設するのではなく町そのもののグランドデザインを描くことのできる資産家が自動車のコレクションをしたら、コレクションの意義も明確に描いた上で展示・維持・保管されたはずである。良い例はトヨタ博物館であろう。そうすると、現代の趣味の車の地位は「金持ちの道楽」、「車を並べて喜んでいる」といったつまらないレベルより、はるかに上がっていたかもしれない。

 次回は、最大の謎である「スポーツカー博物館」跡地を中心に巡っていく。