エンジンのメンテナンス

 「走行距離10万キロでタイミングベルトを交換すること」とありますが、F6Aの場合はそれだけでは不十分です。「エンジンをオーバーホールしたから大丈夫」と思っているあなた、必要な部品がちゃんと交換されているか確認してますか。

 AZ-1に搭載されるF6Aに関して言うと、最も重要なパーツはクランクシャフトのメタル(親メタル)と、オイルクーラーについているクーラントが通るホースです。
 まずメタルです。メタルがだめになるとクランクシャフトに傷が付き、エンジンが使い物にならなくなる上、修理も不可能になります。下のシリンダーブロックは走行距離16万5千キロのエンジンで、メタルが完全にだめになった例です。



 メタルがだめになる明確な前兆はありません。気が付くとエンジンから異音(打音)がしはじめ、音がどんどん大きくなっていき、最終的にブローします。初期の打音はクリアランスが限界を超えることによって発生し、最終的な打音はクランクシャフトのウエイトがシリンダーブロックに当たることで発生します。恐らく初期の打音が発生した段階でクランクシャフトに傷が入ると考えられます。ということは、音が出始めたらそのエンジンはもう死んでいるということです。10万キロを超えたあたりからおかしくなるエンジンが出始めるため、タイミングベルトを交換するだけではなく、エンジンをオーバーホールしてメタルを交換しておきましょう。なおコンロッドやカムシャフトなど、その他の部品については十分な耐久性があるため、あまり気にする必要はありません。





 次はオイルクーラーについているクーラントが通るホースです。リアにエンジンがあり熱がこもりやすいためか、このホースが裂けるAZ-1が多数存在します。このホースが裂けるとクーラントが漏れ出し、エンジンがオーバーヒートします。さらに悪いことに、エンジンの最も下側にあるため、完全に冷却水が抜ける上、リアにエンジンがあるためクーラントが漏れ出した事に気がつきにくく、完全にトドメを刺してしまいます。このホースは定期的に交換しましょう。



 正常なホースと異常なホースを比較すると、異常なホースは金属のパイプと接する部分がちょっと膨らんでおり、ホースをつぶしてみるとヒビが見えます。このホースは破裂までにいたらずクーラントがにじみ出る程度でしたが、あと少しで致命傷となるところでした。

左が異常品 下が異常品



両方とも異常品






 展示していませんが、最近特に多い故障が燃料ポンプです。故障原因は未解析のため不明です。突然死してエンジンがかからなくなりますので注意しましょう。