おめでたい時にあえて語る、避けて通れない現実

 20周年ミーティングで展示された、異色のパネルを紹介しよう。それは年金生活者を送る上で必要な金額を示すパネルだ。老後のカネの話を車のミーティングでするなんて史上初ではないだろうか。
 「カネの切れ目は縁の切れ目」。年金生活者になってもあと100年100万キロ乗り続けるためにはどうしても車のメンテナンス費用が必要になる。「ほれたはれたの戯言よりも、一円玉のありがたみ」という現実は避けて通れない。


 公的年金だけでは生きていけないという現実はみなさんご存じとは思うが、不足する額がどれくらいになるかというと6000万円という驚くべき金額になる。ちょっと信じられないような金額だが、例えば90歳まで生きるとなると、それぐらいのカネがどうしても必要になる。つまり年金生活者になる前に貯金をしておく必要があるということだ。ちなみに日本人の平均寿命は、男性が85歳、女性が89歳。非常に単純に計算すると、20周年ミーティングに集まった男性の半数は85歳以上まで生きる。

 サラリーマンの人は、公的年金以外に企業年金やら退職金といった収入もあるため少しは楽になるが、それを差し引いても3000万円の貯蓄が必要。今30歳のサラリーマンの人は、1年間で100万円ためるペースでないと、AZ-1の維持どころか将来生きていけない。70歳とか75歳くらいで確実に生活保護受給者になる。みなさん、老後のAZ-1の維持やメンテナンスのために貯金してますか?


 以下、当日展示したパネルに書かれてあった文面を紹介する。

40代は9割がピンチ!定年までにいくら貯めればよいか
プレジデントより一部転載+加筆

■6000万円の準備が必要に!
 金融広報中央委員会が運営するサイト「知るぽると」には、退職までにいくら貯めたらいいかの一例として次のような記述がある。
「退職後の生活費を350万円とし、年金の不足分を60万円とすると、20年分で1200万円。これに生活費以外に、予想される出費(自宅のリフォームなど)や予備費(病気や介護、事故に備えるお金)を加えたものが、退職までに準備したい金額になります。予想される出費を生活費の2年分、予備費を生活費の1年分とすると、合計で1050万円。生活費の不足分とあわせて2250万円になります」

 この数字が妥当かどうか、フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長に聞いてみた。
「年間の生活費が350万円で足りるかどうかというのは当然、人それぞれで異なります。また、ここでは20年分の生活費しか算出していませんが、60歳で退職した人は80歳以降の生活費がなくなってしまう。90歳まで生きた場合、どうなるのでしょうか」

 野尻氏の説明では、総務省家計調査を基に、55〜59歳の世帯データと、65歳以上で無職・年金などで年収350万円以上の世帯データを、できるだけ同じ条件になるように調整を加えて計算したところ、退職直前の月収は49万1320円(a)、退職後の必要月収は33万3640円(b)で、目標代替率は68%(b÷a)となった。平成21年民間給与実態統計調査によれば50代後半の平均年収は595万円なので、退職直前の年収をほぼ600万円と仮定すると、その68%の408万円が、平均的な人のケースで退職後に必要な生活費という計算になる。

「高齢になると外出や食事量が減るので、目標代替率68%が退職後ずっと続くのは変だという意見もありますが、逆に年齢が上がれば確実に医療と介護の費用は増えます。夫婦で老人ホームに入るとしたらかなりの費用が必要で、高齢になってもそれほど支出は減らないと予想できます」(野尻氏)
 また、老後の必要資金を計算する場合、平均余命を基準にするのが普通だが「半数の人は平均余命よりも長生きするので破綻します。そのため、当研究所では25%の生存確率となる年齢で計算しています」と野尻氏はいう。直近の簡易生命表から生存確率25%となる年齢を算出してみると、40歳男性の場合は89歳3カ月、40歳女性は94歳7カ月で、60歳定年なら35年間の生活費が必要となる。

 以上を前提に退職後に必要となる資金総額を計算してみる。年間408万円×35年間で1億4280万円。厚生労働省が発表している平成21年度の標準世帯厚生年金支給額は月額約24万円で、65歳から95歳までの30年間で受け取る額は8640万円。その差は5640万円だ。今後の年金制度の改革等を考えると上積みしておく必要があるので、退職金と企業年金を含めて6000万円程度は自前で用意しなければならない。仮に退職金と企業年金が3000万円ほどあるとすれば、それでも残り3000万円は自分で貯蓄しておく必要がある。今30歳のサラリーマンの人は、1年間で100万円ためるペースでないと、AZ-1の維持どころか将来生きていけない。70歳とか75歳くらいで確実に生活保護受給者になってしまう。みなさん、老後のAZ-1の維持やメンテナンスのために貯金してますか? 



老後「年金のみでは賄えず」が18歳以上の8割
読売新聞 9月22日(土)13時14分配信

 金融に関する情報を広く提供する金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)は21日、18歳以上の個人のお金に関する知識などをつかむため実施した「金融力調査」の結果を公表した。

 多くの人が老後に必要な資金の手当てが十分でない実態が明らかになった。

 老後の費用について、「年金のみでは賄えない」と答えた人は78%に上った。このうち、「他の資金で準備できている」とした人は37%で、「準備ができていない」が62%だった。準備できていない理由については、「現在の収入では将来に備える余裕がない」との答えが71%に達した。

 調査は今回が初めて。昨年11〜12月、全国の1万人を対象に面接やインターネットなどで行い、3531人分の回答を集計・分析した。

 これが現実です。みなさん、老後のAZ-1の維持やメンテナンスのために貯金してますか?