フォーミュラSAE & 小ネタ

 マツダブースのあまりのつまらなさに、他のブースをみてみると面白そうな物があった。これ「フォーミュラSAE」と呼ばれる規格の車で、これを操る競技会(全日本学生フォーミュラ大会)が行われる。競技の狙いは「我が国の自動車産業の発展に寄与するための、学生のものづくり育成の場」の提供。主催は自動車技術会、即ち我々がラジコンAZ−1の発表を行った学会である。

 紹介するのは地元にある広島工業大学というところの車。当然ながらカウルがはずされた状態で展示してある。



 この車で非常に特徴的なのは、サスペンションにトーションバーを使っている点だ(矢印部分)。これにより小型軽量化を図ることができる。



 この手の車は往々にして勝利という最終目的を忘れ、本物のフォーミュラカーの縮小版みたいなのを作ってしまうのだが、それにあえて手をつけなかったのがこの車のいいところ。


 エンジンはリアミッドシップで、デフ無しのチェーン駆動。これはフォーミュラSAEで普通に見られるレイアウトだ。



 が、リアミッドシップ乗りとして、全日本学生フォーミュラ大会へ参加する方々に対しあえて問いたい。「なぜリアミッドシップなのか」と。
 説明員にこの疑問をぶつけてみると、みんなリアミッドシップなので、参考になる情報がたくさんあるから、リアミッドシップにみんななってしまうのだという。もしこれがその他多くの参加者の意見であるならば、「我が国の自動車産業の発展に寄与するための、学生のものづくり育成の場」で、固定概念が形成される過程を見てしまった気がする。

 リアミッドシップ乗りだからこそあえて言いたい。全日本学生フォーミュラ大会ではFFに勝機があると。

 理由は簡単で、学校からの卒業によりドライバーがころころ変わる大会では、勝利のためには車本体の性能改善に心血を注ぐよりも、操縦に慣れやすい車に仕上げるのが最も手っ取り早く安上がりで確実にタイムの上がる方法だからだ。FFだったら優勝できるとはいえないが、操りにくいリアミッドシップの車よりも上位に入る可能性は高まるだろう。
 加えて言うと、ジムカーナに近いコースレイアウトを考えれば、車の操縦に不慣れでもそこそこコントロールでき、フロントにトラクションのかかりやすいFFの方がコーナーでの立ち上がりは早いだろう。よって総合的に勘案するとFFの優位性は捨てがたいものがある。
 安全に関するレギュレーションを考えるとFFだとクリアすべき問題が出てくる部分があるかもしれないが、フォーミュラSAEでのFF化は挑戦する価値があると思う。
 今回紹介したのは広島工業大学だが、今後の動向が気になる学校がある。それは山口東京理科大学。2代目・3代目ロードスターを作られた貴島さんが教授としてこの10月から赴任したのだ。全日本学生フォーミュラ大会の車作りに多少なりとも関わられるだろう。RX-7、ロードスター、果ては787Bにも携わられた方が、どんなレイアウトを仕掛けてくるか興味が持たれる。



 あとは完全な小ネタ。前々から紹介しようと思っていた物がある。それはボンゴのカタログ。注目してほしいのは背景にあるビルだ。



 フラワーフェスティバルにおけるマツダブースから撮影した写真。全く同じである。ボンゴのカタログの背景は、広島の風景だったのだ(笑)。なんちゅうカネのかかっていないカタログだ。



 以上で今年のフラワーフェスティバルのレポートはおしまい。90周年でAZ−1が参加できるイベントが行われることを期待したい。と書いてみたものの、マツダの創立90年目はこのレポートをアップして3ヶ月を残すだけとなった。90周年イベントを行う動きは全く感じられない。80周年の際はマツダ80フェスタというものを開催したのだが・・・

 カネがないのはわかるが、カネはかけずとも90周年記念イベントなんてできる。極端な話、車を置く場所とトイレさえ確保できればいい。主催はマツダとしても、実質的に運営するのは有志とボランティア、ステージは三輪トラックの荷台、昼食は各自持参、ネタは各車の近況と今後の展望・歴史と実績のある車の自主展示、受付は手間を省くためネット申し込みのみ、当日参加できないマツダファンのためにネットで生中継。

 90周年記念イベントは80フェスタを超える物を、ひいてはロードスター20周年イベントを超える華美なものを・・・と考えた挙げ句の果てが「貧相になるくらいならやめたほうがいい」となったのなら残念だ。上記のアイディアではお祭り騒ぎはできないが、「意味のある車のミーティング」という面では、カネも手間もかけることなくロードスター20周年イベントを超えるものはできる。我々自身も「90周年はマツダが何かやるだろう」と他人事のように思っていた。今更言っても遅いが、こんなことなら自分たちで手を挙げとけばよかった。さすがに100周年は何かやると思いたいが、この有様を見ると油断はできない。