あり得ない言葉が書いてあった

 アスキーアートのような漢字の羅列の中から、通常では中国の人が知り得ないと思われる言葉を発見してしまった。

 まずはこちら。中国語の分からない人にも翻訳できるよね。あり得ない言葉には該当しないのだが・・・




 「親父にもぶたれたことないのに!」。この文章を中国人通訳の人に訳してもらった。すると・・・「父親にたたかれたことないのに」と翻訳した。本当に「のに」と書いてあるの?と聞き返したところ、確かに「のに」と書いてあるという。中国語と日本語の表現力の多用さに、改めて驚いた次第である。
 写真左下に「BEST 10」と書かれていることが分かる。これは和製英語で、正しくは「TOP 10」である。この誤用からも、日本の影響を色濃く受けていることが伺える。


 という言葉があった! ちなみに先ほどの人とは違う中国人の通訳の人(原語=日本語でアニメを見て笑えるほどの人)に聞いたら、萌えの意味は分かるという。




 腐女子という言葉があった! 念のために書いておくと、腐女子(ふじょし)とは、やおい物を書く女性のことだ。「やおい」とは元々は「山なし、落ちなし、意味なし」の略だったが、「やっぱり、おしりが、痛い」に転じた。ホモとやおいの違いに明確な線引きはないが、「先っぽ」にうんこが付くのがホモで、付かないのがやおいであると考えていい。




 これを「親父にも・・・」を訳してくれた人に、再度翻訳してもらった。すると驚くべき答えが返ってきた。その答えとは・・・翻訳不能

 どういうことかというと、日本人は「腐女子」を名詞としてとらえるが、何の知識も持っていない中国の人は、「腐」を動詞、「女子」を名詞と捉えて翻訳しようとした。通常ではあり得ない位置に動詞があるから意味不明で翻訳不能ということらしい。
 それにしても恐るべきは、中国の文法に則っていないこの文章を難なく読みこなせる読者が存在するという点だ。どうやって理解したのだろうか?
 ちなみに「萌え」の分かる中国人でさえも、腐女子は理解できなかった。


 痛車という言葉があった!




 この記事をみると、去年の11月9日に痛車の祭典があったと書かれている。「去年」とは2008年のことだ。この本が発売されていたのは2009年の10月だったので、1年も前の出来事を記事にしている。想像だが、痛車という意味を理解するのに1年を要したのではあるまいか。なにせ原語(日本語)でアニメを見て喜んでいる中国の人が理解できない言葉なのだ。しかし1年もかけてこんなこと調べるか、普通。これに難なく付いてこれる読者も読者である。


 以上、合法・非合法はどうであれ、中国人アニメ編集者の恐るべき執念を見てきた。