AZ−1のエンジン降ろし

 今回のメーンイベント、AZ−1のエンジン降ろしだ。どんな芸当かというと、当日会場まで乗りつけてエンジンを降ろし、降ろしたエンジンを積み直して帰宅する。エンジンを載せられなかったり、載せても回らなかったらその日は帰宅することが出来ない、退路を断った芸である。しかも特殊な工具は使用せず、またホームセンターで売っている安物のフロアジャッキ3本を用い、積載量の関係で持ち込める工具類も限られる最悪の環境ともいえる山奥の公園で積み降ろししてしまうのだ。

 下の写真は、エンジンを降ろす前の状態。朝8:00にやってきて下準備を開始した。開会式が始まるまでに終了しないのではないかと危惧していたのだが、結構あっさり完了し、9:30頃にはほぼ終了した。ちなみに事前に公園の許可を取った上での芸当であり、クーラントは前日に水道水に置換しておいたので、公園を汚す心配はない。
 必死こいてエンジンの積み降ろしをやったため、非常に集中した。こんなに集中して作業したのは初めてで、帰宅してからどっと疲れが出て翌日も疲れが残ったままだった。作業中にあった質問に対しては、とんちんかんな受け答えになってしまってすみません。




 で、さくっとエンジン降ろしが完了。もう少し見せてあげたかったのだが、雨が降りそうになってきたので、3分もしないうちに再度エンジンを載せはじめた。写真を見て気が付いたが、こんな面白い芸当をやっているのに見てない人がいるなあ。いったい何が面白くてこんな山奥まで来たのだろう?






 F6Aエンジンの分解、AZ−1の外板はずしと続けてきた、他のOFF会では見られない芸当をABC広島ではなぜするのか。理由は2つあって、1つは単に集まるだけの群れることが楽しいといった意味のないOFF会にはしたくないこと、もう1つはエンジン降ろしは慣れてしまえば誰でも出来ることを見せたかったためだ。
 経験上、F6Aは10万キロを超えるとメタルがダメになる可能性が高くなる。メタルがダメになると、クランクシャフトに傷が付いてクランクシャフトもダメになり、エンジンブローに至る。メタルがダメになる理由は定かではないが、新品のメタルを組んでも基準値一杯のクリアランス(0.04mm)程度にしかならないことが考えられる。つまり10万キロを超えたあたりでクリアランスがついに基準値を超え、ガタがでることでクランクシャフトとメタルとがぶつかり合うようになり、限界値(0.065mm)を超えてメタルが潰れるのではないかといったメカニズムが考えられる。
 よく「エンジンはオーバーホールしたから大丈夫」という人がいるが、オーバーホールをしたといっても全ての部品を新品に交換するわけではない。使える物はそのまま使う。オーバーホールとはエンジンの分解点検にすぎず、再使用禁止の部品ぐらいしか新品にしない即ちエンジンのリフレッシュ作業になっていないのが実体である。特にF6Aの場合、メタルを交換しないと、リフレッシュ作業としての意味をなさない。過去何基ものF6Aを分解し各部品を採寸してきたが、ブローしたエンジンでさえも、メタル以外は全て基準値内に納まっており、問題ないからである。

 AZ−1ではこのように喧伝しているので、F6Aエンジンに対する認識は深まっていると思うが、心配なのがカプチーノ。F6Aへの認識の甘いオーナーが多く、過走行車であってもエンジン自体さわられていない個体が多い。メタルがダメになって突然死し廃車になるカプチーノが今後たくさん出てくることを懸念している。

 エンジン降ろしやエンジンの分解はそう難しい物ではない。でなければ、山奥でエンジンの積み降ろしをする芸当なんでできない。とはいえ、心臓の摘出施術みたいなものだから敷居が高いのもわかる。「ちょっとなあ〜」という人は、出来る人をさがそう。またそのコネクションを作ろう。それをやってこそOFF会である。

 今回はこれでおしまい。次回は参加したAZ−1を中心にみていく。