解体車

 エンジンの中身を紹介する前に、AZ−1の解体車をみてみよう。現地に到着すると、手はず通りに馬に乗せられていた。が、錆びだらけである。




 前から突っ込んだらしい。放置されたのは数年間とのこと。




 フロントもリアのフェンダー部分も錆びだらけ。どういう状態で放置されていたかというと、エンジンフードとリアエンドパネル、サイドシルパネル、リアバンパーなどがついていた状態で土の上に放置されていた。リアのフェンダー部分はもともと鉄板の接合部が錆びやすいのではあるが、ここまでひどいことになるとは。



 後ろ部分。パネルが付いた状態で放置されていたためか、錆びは少ない。




 前から突っ込んだ為、フロントガラスは割れていた。そのため室内には雨が入りまくっていた。床は錆びだらけ。穴があいていないのが不思議なくらいだが、床に足をおいて立ったところ、抜けそうな感じはしなかった。




 リアはガラスがあったため、なんとかセーフ。




 床にもびっしりと錆が発生していた。




 このエンジンを降ろすのだ。一人での作業となったが、9:30に到着して実況検分に30分程度を要し、最終的には12:30に完了した。




 出品していたオヤジが言うには、「○○の部品は無いのか」とかいろいろ問い合わせがあったとのこと。今まで出品してきた中でここまで問い合わせがあったのはAZ−1だけだったとのことで、「なぜAZ−1はこんなに問い合わせが多いのだ??」と逆に聞かれてしまった。実はこのオヤジ、ヨタ8、エス8、フェラーリのディノとかジャガーのXK120とか趣味車をたくさん持っている(後日紹介する)。これだけ趣味の車を持っていたら、将来の欠品対策のために部品を確保することの重要性くらい分かると思うため、なぜそんな超当たり前のことを真顔で聞いてくるのか真意が理解できず当惑した。「部品がなければいつ出るやもしれない解体車をのんびりと待てばいい」、「部品はきっと誰かが作ってくれる」といった発想だと思うが、旧車の犯した過ちとは「車に向き合う意欲の脆弱さ」であることをまさに肌で感じた瞬間であった。
 ちなみに「AZ−1は、ネジの一本まで貴重品なんだ」と説明しておいた。