慶応、エリーカ

 堅い話は後回しにして、まずは車を見ていこう。

 フロントエンブレムとして燦然と輝く「慶応ぶっちがいペン」。






 やあやあ我こそは、世界最速記録をもつ電気自動車、エリーカである。エリーカとはElectric Li-ion Battery Carの略なのだという。しかも高速仕様と高加速仕様の2種類ある。金持ちだなあ〜。




 実はこの車は8輪車で、ケツからみるとキャプテンスカーレットにでてくる「追跡戦闘車」のようにも見えなくはない。今回のモーターショーで展示されていた車の中で、ハマーよりごつく見える恐るべき車だ。




 車輪の間を撮影すると、ホイールモーターが見える。ホイールモーターとは、ホイールの中にモーターが入っているようなものだ。ちなみに自動車会社が作る電気自動車ではホイールモーターを採用する例はあまりない。バネ下重量が増えることを嫌うからだ。




 外装に目を転じると、この車なんとガルウイングだったのだ。であるならば、機構の詳細を見ていかねば。




 AZ−1と同じように真上に上がるガルウイング。しかし、ダンパーの取り付け位置がAZ−1と異なる。しかもボールジョイントが使われていない。BピラーやCピラーとダンパーの付け根部分、ダンパーとドアへの付け根部分が同一直線上に並んでいるためこういうことができる。AZ−1の場合、Bピラー側はエリーカと同じダンパーの取り付け方ができても、Aピラー側は無理。ピラーが寝ているためだ。




 さらにダンパーを拡大してみると、面白いものを発見。ニップルがついている。AZ−1でも同様のことを試みた事例がある。これはダンパーへ圧縮空気を入れるためのものと思われるが、そんなに抜けるダンパーなのだろうか。なにはともあれ、同じような発想があるということで、AZ−1のダンパー再生の方向性は基本的に間違ってないのだと確認できた。




 行動走行可能な電気自動車が使われている部分は限られている。以前のモーターショーで日産が「ハイパーミニ」という電気自動車を出展し一種の社会実験が現在も行われているが、その範囲は横浜のみなとみらいとか、つくば市にある日本自動車研究所近辺等に限られている。学術的取り組みとしては非常に挑戦的で面白いと思うのだが、積極的な展開は現実問題どうなのだろう。ま、ここまで来たら行けるところまで行くしかない。