掘っ建て小屋ガレージの耐久性を検証する

 さて、取り壊された掘っ建て小屋ガレージ。このガレージは前述の通り足場パイプで骨組みを組んで、それに塩ビ製の浪板をつけた簡単なものだった。結論から言うと、掘っ建て小屋ガレージは完成から取り壊しまでの3年間、無事に役目を果たすことが出来た。以下、各部の詳細を見てみる。


1.塩ビ浪板の耐久性

 掘っ建て小屋ガレージの建設を計画するとき、一番悩んだのが浪板の材質である。耐久性はあるが高価なガラス繊維入りのものにするか、安価だが耐久性のない塩ビ製にするか・・・結局はコストを重視したことと、最近の技術の進歩により塩ビとはいえ耐久性が改善されているであろうという希望的観測もあり、塩ビ製にした。






 ではどうなったか。結局のところ、耐久性に大幅な改善はみられなかった。写真をみれば分かるとおり、色あせてしまっている。上の写真が建造当時のもの、下が取り壊し直前のものである。下の写真に矢印があるが、これはガラス繊維入り高級浪板で、耐久性比較検証用に一部分にだけ使用したものだ。上下の写真を比較すると、塩ビ製浪板の変色が激しいことがわかる。それに対し、ガラス繊維入りの浪板には変色がほとんど見られない。以上の結果から、塩ビ製浪板の耐久性はやはり悪いことが実証された。

 ところがである、塩ビ製浪板にすることで予期しなかった副産物が得られた。なんと変色することにより日光の透過率が減少し、その結果車室内温度が上昇しなくなったのである。この現象に気が付いたのは1年目と2年目の夏。1年目は屋根がついたのに車の中がものすごく暑かったのに対し、2年目は涼しかった。つまり1年目の夏で変色してしまい、2年目の夏には温度が上昇しなくなったというわけだ。これは使える。自動車用ガレージには塩ビ製の浪板をおすすめしたい。


建造直後の浪板の様子。かなり光が通っている。


2.浪板用釘の耐久性

 これはもっと耐久性がなかった。浪板と比べて変色は少ないものの、ちょっとさわるだけで欠けた。





 また釘も錆びている。なお、錆びると悪いように聞こえるが、錆びることで釘が膨張し、浪板をしっかり押さえてくれる効果がある。

 下に30年風雨にさらされた浪板用釘の写真を掲載する。著しく劣化していることが分かるが、台風が来てもとりあえずもってくれていた。




 以上、掘っ建て小屋ガレージの耐久性を検証してきた。簡単な屋根でも効果は高いので、余裕のある人は建てた方がよい。