最後の最後の手段、サブタンクをカットして中を確かめる

 カットしてしまうと、次の実験ができなくなる。そのため最後まで残しておいた手段だ。ジグソーでカットする。



 スルファミン酸などと触れていない部分をカットした。このカット作業は簡単に見えて大変だった。というのもサブタンクを切ることはできるのだが、切ると摩擦熱が発生する。そのため切っても切っても、溶融したPPが切り口を塞いでいく。PPを切っているというより、ホットメルトを切っているような感じだった。



 切り出した直後の破片。



 破片の切り口は荒削りになっているため、サンドペーパーなどで平滑化していく。



 すると当初の予測とは大きく異なる状態になっていることがわかった。クーラントと接触している部分は、内側・外側には関係無く均一に変色していたのだ。変色が見られなかったのは、クーラントからかなり離れている接合部分だった。AZ−1のサブタンクの変色も、これと同じ状況になっていると考えられる。

実際 当初予測


 これでは何をやっても変色した部分が元の色に戻らないわけである。全くの無駄な努力だった。サブタンクを綺麗にしたい人は、新品を買うしか手がない。サブタンクがどろどろで、クーラントがどこまで入っているのか確認できないような状態の人は、スルファミン酸で洗浄する価値はあると思う。それでいいのであれば、スルファミン酸といった入手しにくいものを使わず、クエン酸で十分かもしれない。もっというと、ハイターで十分かもしれない。

 一縷の望みがあるとすれば、この30年で材質の進化があり、変色しにくくなっていることだ。が、その希望も打ち砕かれる。三代目ロードスターのラジエターサブタンクの写真をヤフオクで確認すると、ことごとく変色している。


 クーラントのラジエターサブタンクが綺麗になるよう努力してみたが、全くの徒労に終わってしまった。しかもなぜクーラントに接触していない部分まで同じように変色してしまうのか、そのメカニズムすら推測することもできなかった。