AZ−1ブース、その2

 して、その狂気の沙汰とは・・・


 机に並べられたパイプファイル。これ、25周年でも紹介したAZ−1の組み立て要領図なのだ。



 組み立て要領図とは、文字通りAZ−1を組み立てていく上でのポイントが書かれている図面である。当時物のため、トレーシングペーパーに鉛筆で書かれている。



 なんと、その全部をスキャンして電子ファイル化してしまうのである。AZ−1の設計図もスキャンできればベストなのだが、設計図はマツダとキーレックス双方に著作権があり、マツダの許可がないとスキャンできないため無理。一方で組み立て要領図はキーレックスのみに著作権があるので、スキャンの許可が出た。
 要領図のスキャンにより、部品や組み立て方が、いつ変更されたのかといったことが明確になり、客観的な証拠も得ることができる。一方で通常の旧車はというと、どんなにがんぱっても「多分この時期に部品に変更があったはずだ」と車台番号と部品の違いから推測する状態にとどまっている。この差は大きい。
 図面は普通では絶対に世に出ることはない。かつてここまでやった旧車・趣味の車があっただろうか。恐らくAZ−1が世界初ではないか。「スポーツカーとは、峠の茶屋に行くための移動手段であり、それが正しいスポーツカーの使い方である」と実に薄っぺらく考えている一般筋からすると、今回の取り組みは意味不明だし、狂気の沙汰としか映らないだろう。しかし、AZ−1オーナーのように、深く車へと向き合い実際にやってのけることが、どう見ても真っ当なのである。



 必死こいてスキャンする、イーヨーさん。このためにわざわざスキャナーを持ち込んだのだ。



 が、図面の量が膨大すぎて、途中までしかスキャンできなかった。残りは来年に持ち越しだが、一体何年かかるのだろうか。