特別企画! AZ−1の新型ボディーが今秋発売予定

 類希なる運動性能を誇るAZ−1。しかし、もう一つ知られざる特徴がある。それは着せ替え可能ボディー。軽量化のため外板を全てプラスチックにしたAZ−1は、それを取り外すことができる。そのため法律の範囲内ならば好きなデザインに変更できるのだ。しかしAZ−1自体が売れなかったため、その特徴を生かしたボディーをつくったメーカーは少なかった。  ところが絶版車となった今になって、新型ボディーが発売されようとしている。これはアバルトのコレクターとして有名な小坂氏が、イタリアのデザインチームと協力してつくった物だ。以下の写真はそのボディーの発売元であるサブロー・ジャパン(株)殿の多大なご協力により特別に入手したものである。また、同社によると数百台規模でヨーロッパへの輸出が計画されているとのこと。AZ−1は1台ほどオーストラリアへ個人輸出されたという記録があるが、これが実現すると初の大量輸出となる。



 これが全体像。AZ−1の面影があるのは、フロントと側面のウインドウ、ドアミラーくらいのものだ。アバルトをモチーフにしたとのことだが、素人目にはフロントのデザインはロータスヨーロッパとロータスエランをたして2で割ったような感じ、リアは日産のチェリーのようにみえる。また、黄色いボディーのためか、フェラーリのディーノのようにもみえる。個人的にはフロントのデザインはGOOD、リアのデザインは若干もたついている印象を持った。ここまで作り混んだデザインなので、ドアミラーがノーマル仕様のままというのは残念でならない。またドアミラーの位置に限りなく近いフェンダーミラーに変更してもおもしろかったかもしれない。
 ボディーはFRP製。車幅は140cm以上となり、軽自動車規格を越える。サイドシルの厚みも増しているため腕を鉛直に近い形で下におろすのは難しい。従って「地面でタバコの火が消せる」という芸当はできなくなるものと思われる。またAZ−1の構造から、フロントに3つあいているエアインテークのうち、真ん中のものは実際はふさがっているものと思われる。






 これがリアの写真。ヨーロッパに輸出されるだけあって、ナンバープレートの取り付け位置のサイズはヨーロッパ仕様だ。また、大きなリアのバンパーがカッコよくない排気管の取り回し部分をうまく隠してくれている。またリアのコンビランプを見ると、ウインカーが外側になっている。ノーマルのAZ−1とは逆の配置だ。さらに、左のバックライトがバックフォグになっている。この部品は非分解なのだが、いったいどうやって加工したのだろうか。一方ランプストップランプはノーマルのものと違い、球状になっているようにも見える。ひょっとしたらコルベットのストップランプの流用かもしれない。実はAZ−1とコルベットのストップランプの径はほとんどいっしょなのだ。
 開いたドアからインテリアの一部が見えるが、ノーマルのままで変更はない。シートの色は赤だが、青のボディーから改造されたものは青色になる。



 これが遠景かとった写真。テーブルの大きさと比較すると非常に低く小さい車であることがわかる。




 この車はフランスの自動車雑誌に紹介されて大きな反響を呼んだという。当然であろう。こいつはイタリアのデザインをまとったAZ−1なのだ。2シーター、リアミッドシップ、DOHCインタークーラーターボ。ここまで読んだフランス人は排気量が660ccと書いてあるのを見てミスプリントでゼロが1つ足りないと誰もが思ったのではなかろうか。かれらの驚きを想像するだけでほくそ笑んでしまう。また実物を見て、そしてそれに乗り込みアクセルを踏んだ瞬間、単なる驚きから驚愕の域に達するであろう。
 先にも述べたように、この車は数百台規模で輸出が計画されているという。もしそうなったら日本の中古車市場から一時的にAZ−1が全くなくなってしまうことが予想される。もしあなたがAZ−1の購入を検討しているのなら早めに対応しておく方がいいかもしれない。しかし、数百台のAZ−1を入手するのはほぼ不可能なことなので、結局なにも起こらないかもしれない。
 また、すでにAZ−1を持っている人のために、ボディーだけの販売も行うとのことである。現在、ボディーの組み替え先など詳細を検討中で、これらが煮詰まり次第販売を開始するとのこと。価格は100万円強を予定。